2014年1月15日

本 その1 キャプテン月川物語

今回は、クイーンズタウンの友人のアヤト君にひょんな事から勧められ読んだ本のお話。

キャプテン月川物語』松美正宣著




あらすじ

この本は、今から150年程前、1859年(明治28年)に、南島東海岸にあるダニーデンにある船が漂着し、日本人乗船員の月川喜代平主之(つきかわ・きよへい・かずゆきと読む)さん(当時21歳)が、船長との給与前払いの交渉が決裂し、船から脱走するとこから話が始まります。

そしてオタゴ地方で幾つかの場所、職を経て最終的にダニーデンの南に位置するBalclutha バルクルーサに行き着き、やがてはそこでバルクルサ川の渡し船の蒸気船のキャプテンとして働き、またキリスト教に改宗し救世軍のメンバーとして活動中に知り合ったオーストラリア人女性と恋に落ち結婚、3児の父親となります。

その後、ニュージーランドでの初の、記録によると2番目の永住の日本人という事で、当時のニュージーランドの首相から日本との通商の架け橋になる様依頼され、日本とニュージーランドの経済通商発展を結ぶ為に奔走し、1948年のクリスマス前に亡くなられます。

まあなんともこの月川さん、行動力、決断力、冒険心に溢れ、また他人を助ける為に自己の犠牲を厭わず、何とも明治の侍の心を持った、潔い方。

読んでてあっぱれという気持ちになります。

時代背景

この時代、月川さんが辿り着いたダニーデンそしてオタゴ地方は、ゴールドラッシュによっておそらくもの凄く活気づいていた時代。オタゴ地方の至る所で金が採掘され、それが蒸気機関車によってこの地方最大の港湾都市ダニーデンに運ばれ、そこから船でその金はオーストラリアへと輸出されていました。その影響でこの時代ダニーデンは国内で最大の都市でした。

また一方祖国日本では、文明開化に始まり、西洋の列強に追いつこうと様々な努力がなされ、めまぐるしい程の経済発展が起こっている最中。そして宗教、政治改革が起こり、やがては軍事国家へと発展して行き、やがては幾つかの戦争へと突入して行くといった時代。

そういった二つの国の時代背景の中で、時には狭間に立たされ苦悩し、心を痛めもしますが、日本とニュージーランドという二つの国の友好に一役買おうとし努力される姿がこの本の中に生々しく描かれています。

ひょっとした偶然からこの本と巡り会った訳ですが、一日であっという間に読み終えてしまいました。自分もこの国に幾つかの決心とともに渡って来た訳ですが、この物語を読んで心を新たに努力して行きたいなと思わずに入られません。

バルクルサの今

ところで、アヤト君によるとバルクルサにはこの月川さんを祈念する塔だか碑があり、この町では結構知られた存在だとか。もし、どなたかバルクルサの事情に詳しい方がいらしたら、ぜひ、知ってる事を教えて頂きたいです。私、バルクルサには何度か行った事があるというより通り過ぎた事ある程度であまりこの町を知りません。

いつか近い内にバルクルサを訪ねて行ってもう少し詳しい情報を手に入れてみたいと思います。

最後に、アヤト君、素晴らしい本を貸してくれて有り難う!

それではまた次回。