2008年4月10日

ルートバーントラックでの行方不明の登山者

日に日に朝晩の寒さが厳しさを増し、周りの広葉樹の色も段々と綺麗になっていっています。

昨日までまた3日間ツアーでお客さんを連れてルートバーントラックを歩いて来ました。今年は本当に信じられない位気温が高く、また晴れの日がずっと続いています。今回も3日間とも晴れ、その殆どが雲一つ無い青空で、基本的には5000ミリの雨が降るような地域を歩いているのでそれはそれは本当にどうなっちゃってるんだって位もう晴れ過ぎています。

それはさておき、最近のこちらの新聞に載った記事(もちろん英語)こちらがそこへのリンク1 リンク2

イスラエル人の登山者(記事内ではTramper=トランパーとなっていて、これはキウイ英語で山歩きする人のこと)が、3月27日にルートバーントラック終えてクイーンズタウンに帰ってくるはずが、未だに姿を現さず、4月8日(一昨日)からクイーンズタウン警察とサーチアンドレスキュー(遭難救助隊)がヘリコプターを使って捜索を始め、また情報提供者を募ってもいるとのこと。イスラエル人の女性で26日にマッケンジー小屋を11時過ぎに出発するのを最後に今の所はその後の消息が掴めず、行方不明になっているそうです。青のバックパックを担いでいて、赤いパーカ、ジーンズ、白いスニーカーを着ていたとのこと。

この人の家族も心配してるでしょうし一日も早い事件の解決を祈ります。

実際一昨日ルートバーンを歩いていてその捜索のヘリコプターが頭上を忙しく飛び回り、崖と言う崖の下から、間違って登って行ってしまいそうな、我々の通常歩く所より上の辺り等をゆっくり旋回しながらしらみつぶしに探しているのを間近に見ていました。

その時には私はこのヘリコプターが誰かを探している程度の情報しか入りませんでしたので、余り細かい事まではわかりませんしたが、何となくある想像が頭を過ぎりました。

ずっと何度も山を歩いていると、それは様々な人々(トランパー)に出くわします。その中にはビーチサンダル、ジーンズ姿で歩いている人、両手に食料の入ったビニール袋ぶら下げて歩いてる人、果てにはハンドバッグらしき物を手にして歩いている人など、はっきり言って明らかに場違い、勘違い、準備不足、経験不足な人も頻繁に眼にします。

またこういった人々は、統計的にある国籍、人種的外見の特徴、または年齢層に特定出来る事が多いと個人的に考えています。まるで人種差別をする気はありませんが、実際イスラエル人のトランパーがニュージーランドの山で行方不明になったり、何か救助が必要になったりすることは残念な事に珍しい事ではありません。同時に西洋系のバックパッカー(貧乏旅行者とは言わないか?)、特に非常に若い年齢層にも多いですね。装備などにお金を使うのを最低限に切り詰めたいのは解るんですけどね。

今までにも、私がルートバーンでガイドになってからの5年で実際に1度イスラエル人の女性が大雨の中安い雨合羽、ビーチサンダル、ジーンズのいでたちで大雨のの中を歩き、やがて低体温症に陥り、意識不明になって大嵐の中終いには救助のヘリが出動すると言う騒ぎを眼にした事があります。

問題なのは、彼らが往々にして他人の意見を聞かない事にあります。ある特定の人達をひっくるめて決め付けるのは好きではないんですが、個人の経験として、以前何度か見るのに堪えられなくなって彼らにアドバイスじみた事を言ったことがあります。しかし結構な確率で、「我々は軍隊に2年いたから大丈夫」と言うような答えが返ってきました。いやーいくら軍隊で2年鍛えられたからって、イスラエルってどっちかって言ったら乾いた砂漠みたいな所なんじゃないの?ここは5000ミリも雨が降るって言われる場所なんだぜ、イスラエルにはこういう所無いじゃないのってな突っ込みを返したい衝動に駆られますが、まあね、彼らがそこまで言うからには私の出る幕じゃないって言えば出る幕じゃないんでね。

あとはね、これらの救助に使われるお金、実は我々の払ってる税金から出てるんですよね。ニュージーランドの法律は日本とは違って、こういう遭難救助隊は主に寄付と政府からの補助金で成り立っていて、その補助金はもとをただすと我々が払った税金なんです。そして大抵の場合、救助された本人は国籍を問わず救助費用請求されません。何故、自らを窮地に巻き込むような愚かな真似をする外国人救助に我々の税金が使われなきゃならないんだってことですよね。起こる必要の無い事故が起きてそこに税金が費やされていく。防ごうと思えば割と簡単に防げるのではないか。なんともやりきれないですね。

まあしかし今回のこの女性の事件は解決されていませんし、未だ全ての事情が明らかになっていませんので先走りはしませんが、この事件が明るみになった時に頭を巡った事、そしてそれが何となくその通りだったという事を書いてみました。それでは。

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