2014年11月2日

ラグビー オール・ブラックス(NZ代表)対イーグルス(アメリカ代表)

2014年11月2日の午前9時(ニュージーランド時間)にアメリカのシカゴで、ラグビーのテストマッチ(国際親善試合)が行われ、インターネット上のライブストリームでその試合を観戦しました。

結果は74-6で、オールブラックスの圧勝、計12トライをもぎ取りました。

こちらがその試合のハイライト。



このアメリカでの試合は、来週末からイギリスで行われる親善試合3試合、対イングランド、スコットランドそしてウェールズとの戦いを前に、アメリカに立ち寄ってアメリカ代表と試合をする、言わば今後の3試合に向けてのウォームアップみたいなもの。

更には、オールブラックスがアメリカの地で試合をするのは34年ぶりだとの事。6万2千の観客で、会場は満員でした。

オールブラックスは現在世界ラグビーのランキングで1位、一方のアメリカは18位。ちなみに日本代表は現在11位です。

こちらにそのIRB(International Rugby Board)のランキング表へのリンクを張っておきます。IRBはサッカーで言うFIFAみたいなもので、世界中のラグビーを統率している組織。

また、アメリカという国はラグビー後進国で、プロのリーグは無く、選手の殆どがアマチュアだそうです。

ですので、このオールブラックスがアメリカで試合をするという事の意味は、言わばラグビーというスポーツと、ラグビー界で世界最強のオールブラックスというブランドが、スポーツにおける、まだ未発展でこれからの需要に可能性のある、世界最大の市場のアメリカで、認識を深められるという経済的側面が強いものです。

試合の行われたシカゴのソルジャーフィールドというスタジアムは、本来NFL、アメリカンフットボールのシカゴベアーズのホームスタディアムだそうです。

さて、試合の方はオールブラックスが危なげなく、大差で圧勝。なんだかんだ言ってもかつて一度日本代表は147対幾つかで、歴史上最大の点差で負けた事がありますんで、それに比べたらまあこんなもんでしょう、実力の差から言って。

しかも後半も中盤にさしかかった頃から、オールブラックスは流してましたね。ですので彼等がもう少し本気になっていたら、更に点差は広まっていたのではないでしょうか。

試合のポイントとしましては、

  1. 基本技術の差
  2. チームとしての戦術の徹底の差
  3. 真剣な試合をこなす数の差
が、如実に現れた試合だったのでは無いでしょうか。

1. 基本技術の差


これはもう、どのスポーツでも言える事ですが、どれだけ若いうちにスポーツをプレーし始め、基本技術を若いうちに習得出来るかの差でしょう。アメリカ人のこの試合のコメンテーターの方も、ニュージーランド人はまだゆりかごにいる時からラグビーボールに触れているなんて表現していました。ニュージーランドではラグビーが国技になっており、至る所にチームがあり、小さい頃からこのスポーツに親しめる環境が整っています。人口450万程度の決して大きいとは言えないこの国が、世界で頂点に立っているというのは今更ながら驚きを隠せません。

2. チームとしての戦術の徹底の差

これも試合を見ていると解るのですが、オールブラックスの選手は、攻撃の際に必ずボールホルダーの周りに最低一人、大抵は更に、必ずサポートが付いています。ですのでボールを持った選手が止められた際に必ず幾つかの選択肢が常に存在しています。翻って、アメリカや、これは日本代表の試合等の試合でも共通するのですが、ボールを持った選手がタックルを受け止められた時に、周りのサポートが無く孤立して、ボールを奪われターンオーバーとなってしまう事が度々見受けられます。

また、この試合で一度印象的だったのが、オールブラックスのラインアウト時に、オールブラックスの選手達が前方と後方で2つのブロックを作り、選手がボールを受ける為にジャンプした際、それに吊られアメリカの選手達がディフェンスの為にこの2つのブろくに対応しようと二手に別れ対処しようとし、真ん中に大きなギャップを作ってしまい、そこを突かれて抜かれてしまい、最後にはトライを献上するシーンがありました。

こういう幾つもの戦術を持っていて、それを反復練習で選手達が完璧に学習しチームとして身につけ、戦況に応じて幾つものの選択肢の中から最前のものを選択し、実行する。こういう所に差が現れるものなのでしょう。

3. 真剣な試合をこなす数の差

ニュージーランドにはプロのラグビーチームが4つあり、冬の間には、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカそしてアルゼンチンからなるプロリーグに参加し毎週しのぎを削っています。それに比べると、アメリカの方は、これもコメンテーターの方が言っていたんですが、プロリーグも無く、選手の大半はアマチュアで、プレーする環境という面でそこには埋めようの無い差があると。アメリカの代表はこの試合の為に準備期間があり、集まって一緒に練習を行いましたが、次回は来年の6、7月まで一緒に集まる機会は無いとの事。

それに比べ、オールブラックスの選手の方は、冬の間半年に及ぶリーグ戦を戦い、シーズンオフの夏には、毎年行われる上記3カ国との対抗戦、そして北半球の強豪のイングランドやフランス等との親善試合が毎年の様に組まれ、真剣に試合をする場が多く設けられています。

如何に真剣な場での試合数をこなせるかという事は、非常に大きな意味を持っています。これは日本のサッカーの代表にも言える事なのではないでしょうか。アジアとヨーロッパ、南米との間には大きな開きがあり、地理的、カレンダー上での障害からなかなか格上のチームと真剣な試合をする機会が無く、それが日本のサッカーの進展を妨げているのと一緒ですね。

何はともあれ、この試合には多くのキウイ、ニュージーランド人が訪れ、画面を通しても、スタンドにはアメリカ人の数よりオールブラックスのサポーターの数の方が多いんじゃないかって感じでした。 カナダに住む私のキウイの友達達も大挙してシカゴに押し寄せた模様。この圧勝劇に浮かれすぎてシカゴで警察沙汰になって無い事を祈ります。

それではまた次回。