2014年3月6日

サッカー国際親善試合 日本対ニュージーランドを観て

こちらニュージーランドではほぼ深夜の午後11時半に行われたこの試合。インターネット上のライブストリームで眠い目をこすりながら観戦しました。

今朝は日本のメディア、ブログ等で幾千ものこの試合の論評がなされるでしょう。が、恐らく日本語でオール・ホワイツ(ニュージーランド代表)の視点に立った論評はその中でも恐らく皆無でしょう。ですから、ここで敢えて私がこの試合を見て思った事をここに記して行きたいと思います。

まあ黙っていても1億2000万の人々が日本を応援するでしょうから、ここで一人位相手チームを応援した所で日本は大丈夫でしょうし。

こちらのメディアでも珍しくこの試合が、オンライン上で、珍しく一面に記載されています。


もっと内容を知りたい方はこちらのニュージーランドを代表するニュースウェブサイトへのリンクへどうぞ。

以下に幾つかに渡ってこの試合を振り返ってみたいと思います。

  1. 簡単な試合の寸評
  2. ニュージーランド代表の現状
  3. 良かった所と選手
  4. これからの課題
1. 簡単な試合の寸評

試合自体は、4−2で日本の勝利。今まで数多くの日本の試合を観てきましたが、前半17分の時点で4得点もしてしまうなんて、最近では記憶に無いくらいの、何とも無難な立ち上がりでした。逆にこの時点では、オール・ホワイツにしてみたら、この試合どうなってしまうんだろう、何点取られてしまうんだろうなんてもうお先真っ暗な感じでした。

前半の最初半分なんて前を向いてボールを受ける事も出来ませんでした。私なんて本当もうどうなってしまうんだと頭を抱えてしまいました。

が、しかし、前半も終盤に入ってから幾分盛り返し、後半になってからは、日本のメンバーチェンジによる稚拙な連携と混乱に助けられ、結構やりたい事が見えて来る様な内容であったと思います。

特に後半、日本陣内において特に中盤とディフェンスの間と、左右のスペースに余裕が生まれ、前を向いてボールを受け取れる様になりました。幾度か素早くボールをセンターフォワードにあわせようと浅い位置から対角線上に素早くクロス入れたとき何かはチャンスが生まれました。

後は左右のウイングハーフがその空いた左右の前方のスペースにドリブルでボールを持って仕掛けて行った時にも幾度か期待させる様な展開が生まれたと思います。

でもまあ、なんとか2点返す事は出来ましたが、実力、FIFAランキングを如実に繁栄する妥当な試合だったのではないかと思います。

どのチームもそうでしょうが、試合開始早々に失点してしまうと思い描いていたゲームプラン実行するのが難しくなってしまいます。特に弱い方のチームがそうなると、なかなか試合を挽回するのが難しくなってしまいます。

日本もこういった試合展開を幾度となく大きな国際舞台で経験して来ましたね。

今回は、1点のみならず、17分で4失点ですから、もうそれはそれは、監督、なんてこったといった感じだったでしょう。

まあ1点目の失点は、ゴールキーパー足を滑らしてますし、運が無かったというか事故みたいな物でしょう。不運にもそれがもの凄く早い時間に起こってしまい、まだ全くエンジンのかかっていない若くて国際経験の少ないチームに影響を与えました。

2. ニュージーランドサッカーの現状

ご存知かもしれませんが、ニュージーランド代表は来るブラジルでのW杯には出場しません。オセアニア地区では首位に立ちましたが、メキシコとの大陸間プレーオフで、2試合合計9−3と、これまた実力を如実に繁栄する結果で、ちんちんにやられました。

ですので今回は相当新鮮な顔ぶれで、若い選手で構成されたチームで、私も今まで観た事無い選手が多々いました。次回のW杯を見据え、若い選手に経験を積ませるという事なのでしょう。

しかも監督も新しい人になってました。今まで指揮を執っていたリッキー・ハーバートが退任して、エンブレンと言うイングランド人の監督。確かリッキー・ハーバートはスコットランド人?(もしくはイングランド人)でしたから、きちんと継承された形の交代となっているみたいです。確かこのエンブレンって人は今まではアシスタントコーチだった様な気がします。

この代表でプレーしている人の中にはイングランドの弱小、中堅クラブでプレーしている人が数人いるくらいで、後は殆どオーストラリアのA-Leagueでプレーしています。しかもヨーロッパはシーズンまっただ中で、今回は親善試合という事もあり、そういう選手は殆ど招集されなかったみたいです。

ニュージーランドにはプロリーグは存在しません。ただ、A-Leagueにニュージーランドのチムとして、Wellington Phoenixというチームが1チームだけ国をまたいで参加しています。

でもこのフェニックス、お世辞にも強いとは言えません。何人かブラジル人の助っ人が毎年の様にやって来ますが、まあ日本で見るブラジル人選手達に比べると、日本だったら期待はずれ、まあそこそこの様なレベルの様な気がします。

毎シーズン中位から下にいる様なチーム。ラグビーが国技なだけあって、やはり競技人口の少なさから来る良い人材の不足が深刻です。

3. 良かった所と選手

特に後半にこのチームのやろうとしている事が何度か見えた様な気がします。中盤で素早くボールを運び、サイドから素早くクロスを当てて、背の高いセンターフォワードを中心に得点を狙う、言わばイングランドスタイルのサッカー。

中盤にスペースのある時、前を向かせてもらえた時はそこが出来そうだった事が幾度かありました。

センターフォワードのクリス・ウッドという選手は身長が高い割にはそこそこ足下の技術もありましたので、これからもっと成長してもらいたいものです。

次は、左のフォワード。名前は解りませんが確か19歳のマオリの選手。彼は、足が早く、自分からペナルティアリア外から自分で仕掛けて行こうという姿勢が見えました。前半の攻撃が停滞していた時のこの彼の姿勢が唯一光が見えた時でした。

ペナルティエリア角の外辺りから、対角線上にドリブルで仕掛けて行こうという、日本だったら香川や斉藤がやりそうな事を、してました。これからに期待しましょう。

後は8番の選手。このチームの中では基本技術と試合運びというか、戦術眼に優れていているという印象を受けました。今シーズンからベガルタ仙台でプレーするとの事。注目して行きたいと思います。

4. これからの課題

これからあげる全てはもう地道に時間をかけてやるしかないんで、短時間でどうなるとかはあまり思えませんが。

  • 基本的な技術
  • 応用編技術
  • 玉際の激しさ
  • もっと真剣な場での経験
やはり日本の選手と比べるとどうしてもボールを留める・蹴るという基本が劣っていました。身体的特徴とかどうしようもない部分もあるのでしょうが、こればかりは小さい時からの反復練習を積み重ねるしか無いでしょう。

で、次に、ボールをきちんと置きたい所に置ける様になったら今度はいつどういった場面で何処にボールを置いた方が良いのかという事を理解して実践出来る技術の向上。

日本の選手達は、技術の確かさに裏打ちされたボールの扱いによって、多くの場面でワンタッチ・ツータッチでボールを廻していました。翻ってニュージーランドの選手達は速くてツータッチ・スリータッチもしくはそれ以上と、ここでも差が如実に現れていました。

良くバルセロナで言われる、選手が走り回るのではなく、ボールを走らせるという事。ボールはどれだけ廻されても疲れませんからね。これを実践するにはやはりそれを可能にする技術が必要です。

玉際の激しさ。これはイングランド的なサッカーポインだけど、玉際に寄せる、激しく行くというのが殆ど見れず、日本の選手に多くの余裕を与えていたと思います。裏返せば、それだけ日本の選手達の技術が優れていたという事でしょうか。

まあでもサッカー弱小国として、これから否が応でもこのレベルのチーム、選手達と対戦せねばならない訳で、今のままの軟弱な対応ではこの試合の様に必要以上にやられ放題担ってしまうでしょう。

オセアニア地区に所属しているという事で、なかなか国際的な真剣な舞台に立てない現状があり、これが経験不足の土台となっています。それに加え、ニュージーランドのサッカー協会は政府からの補助、援助無しでは到底やって行けません。これがなかなか資金が集まらず、国外に真剣な場を求めに行けない大きな理由となっています。日本みたいな国は恵まれています。日本サッカー協会なんてこっちからみたらグーグルとかマイクロソフトみたいな世界的な巨大企業もんです。

とまあこれまで長々とお先真っ暗な現状を述べて来た訳ですが、これからも身分をわきまえた程度に、温かい目で応援して行きたいと思います。こればかりはどうしようもないですからね。ラグビーだったらブラジル国民みたいに贅沢な悩みであーだこーだ言ってられるんですけどね...

今回はちょっと打って変わってサッカーに関する記事でした。

それではまた次回。