以前ご紹介した、ビッグベイもそのうちの一つ。歩いて最低4日はかかります。
今回、初めてダスキー・サウンドに辿り着いたのでその場所のご紹介をしてみたいと思います。
ダスキーサウンド内のsupper cove
ダスキー・サウンドとは?
ニュージーランド南島南西部一体を覆うフィヨルドランド国立公園。ここには14のフィヨルドが海に面して並ぶように位置しています。
- ニュージーランド政府観光局のウェブサイトでのダスキーサウンドの説明へのリンク。
この国立公園内にあるその14のフィヨルドのうちの一つ。
ここにたどり着くには、フィヨルドランド国立公園内を歩いて最低で3日かかります。
ちなみに、ダスキーサウンドは本来はフィヨルドと呼ばれるべきもの。こちらの以前に書いたミルフォードサウンドを紹介する記事にも、サウンドとフィヨルドの違いについて言及しています。
簡単に言えば、サウンドとは海水の侵食によって出来た入江で、フィヨルドとは氷河によって削られて出来た入江。ですので本来はフィヨルドと呼ばれるべきなのですが、ここらに来た最初の西洋人(主に英国から)はフィヨルドに馴染みがなかったので、サウンドと呼び始め、その言葉が今でも訂正されずに使われているという事です。
名前の由来
こちらがジェームス・クックさんの肖像画。ウィキペディアから借用。
1770年にイギリス人のジェームス・クック船長さんがNZ一帯の探査の為にこの辺りを訪れました。まだその頃はこの辺りの南太平洋一帯は未開の地であり、地図の作成という目的がありました。そしてある時この辺りの沖で日が暮れてきて、どこか外洋から船を守れる場所はないかと思案していた時にちょうどこのフィヨルドが目に入り、恐る恐る船を入れ夜を明かしたのが始まりとなります。
Duskとは英語で夕暮れのことを指します。ちょうど夕暮れ時に発見したこの入江という事で、彼は最初にDusky Bay ダスキー・ベイトこの辺りを名付けました。
そして二度目の滞在の時には約2ヶ月ここで過ごし、地図作成、土着植物の採集、鳥などの野生生物の観察など、このその頃未開の地図にも載ってない土地の調査に励んだのでした。
NZの歴史においての重要性
この二度目の滞在の時にNZの歴史における幾つかの重要な事、初の事を彼はしています。
- このダスキーサウンドでNZ初のビールを醸造
- 西洋人とマオリ族の人々との初のコンタクト
NZ初のビールを醸造
彼と船員達はニュージーランドで初のビールを作りました。こちらの土着の木、マヌカとリムを使っての醸造だったそうです。
そしてなんと南島最大の都市のクライストチャーチにあるWigram Brewing Coというマイクロ・ブルワリーでその当時のレシピーを使ってクックさんの作ったビールを再現して売っている会社があります。
彼らの作る数多くのビールのうちの、Spruce Beerというもので、リンクのページのリスト内の中頃にあります。
Spruceとは、マツ科の木の一種のことです。
私も以前一度少しだけ試したことがありますが、んーっ、なんとも微妙な味。現代のビールの味に慣れている我々にとって、確実に少し違った味です。
西洋人とマオリ族の人々との初のコンタクト
このダスキーサウンドでの滞在時にジェームス・クックさんと船員達は、マオリ族の家族と遭遇しています。上の絵がその時に描かれたもの。
NZの先住民族であるマオリの人々は800年から1000年前に太平洋をカヌーで航海してこの地にやって来たと言われています。
言われているというのは、彼らは文字を持っていなかったので、全てが口承で伝説という形で受け継がれているからです。
で、何度もの移住の航海を経て、異なる時期にやって来たと言われていて、それが今の部族の違いとなっています。
彼らは主に北島に定住しました。
その理由は、北島の方が南島に比べ気候が暖かいから。
彼らは、豚、タロイモ等の食物を故郷から持って来たのですが、それらはやはり暖かい所でよく育つからです。まあ、よく考えれば、太平洋上の島々の暖かい所出身ですからね、やっぱそうなりますよね。
南島には、北の方にナイ・タフ Ngai Tahu という部族がいて、彼らが南島では最も勢力の大きい部族でした。
ある時、ナイ・タフ族内で諍いがあり、あるグループがナイ・タフの位のある人を殺してしまいました。
で、その殺しをしたグループは逃げることになります。
最終的には、このグループがフィヨルドランドにまでたどり着き、息を殺して復讐を恐れながら暮らしていたと言われています。
このジェームスクックさんたちの遭遇したマオリの人々たちはそのグループの人達ではないかと一部では考えられています。
そしてこれが、フィヨルドランドに伝わる、『失われた部族』ナティマモエ Ngatimamoe の由来となっています。
最終的には、このナティマモエの人達はナイ・タフの人々に捕まり、復讐の為に皆殺されてしまったということです。
と、まあ、ダスキー・サウンドにまつわる幾つかのお話を紹介してみました。
ニュージーランドは非常に歴史の浅い国ですが、勉強してみると色々面白いものです。
ニュージーランドを訪れる際に、少しでも歴史の知識があればこの国での滞在もさらに素晴らしいものになるのではないでしょうか?
それでは今回はこの辺で。
また次回。