さて、前回はニュージーランドで今まさに行われる、国旗を変更するかどうかの是非を問う国民投票に関するこれまでの経緯を説明しました。
今回は、この背後にまつわることや、二つの候補の旗、一つはこれまでのもの、そして新しいデザインの候補に選ばれた二つ目のものについても少し掘り下げてみていきたいと思います。
ちなみに、このニュージーランド政府のウェブサイトを参考にさせてもらっています。
現在までの国民の反応
去年からことあるごとにキウイの間で話題になることが多くなりました。またフェイスブック等のソーシャルメディアでも活発な意見と主張をする投稿が多く見受けられます。
私の周りのキウイとの会話とフェイスブック上での投稿を見る限り、印象としては変える変えないの数は半々といったところでしょうか。
少なくとも私の住むクイーンズタウン界隈ではこの旗を変更するかしないかで、熱くなりすぎて感情的になって議論をする人たちというのは見たことがありません。
現行の旗
これは一つ目の旗。皆さんもどこかで目にしたことがあるのではないでしょうか?こちらの旗は1902年に採用され、これまで変更なく使われてきたデザインです。
ニュージーランドは1840年2月の6日に、ワイタンギ条約を結び、英国の植民地となりました。イギリスの連邦の一部となったわけです。
それは1907年まで続き、この年に自治領となり、事実上の独立国となりました。
ですので、英国と強い結びつきがあります。
それが旗のデザインにも現れていて、
- 英国の象徴であるユニオンジャックが左上4分の1を占め
- これまた英国の象徴の色である濃紺がベースとなっています
これに加え、南半球の象徴でもある南十字星が使われ、ニュージーランドを象徴するデザインとなりました。
また、第一次世界大戦には英国を助けるためにニュージーランドからも多くの兵士が北アフリカ、ヨーロッパそしてトルコに出征し、多くの犠牲者を出しました。
ですので、この旗を支持する人々の主張としては、
- この旗のもとに多くの兵士が戦争を戦った
- この旗で生まれ育ったから強い結びつきがある
- 英国との結びつきによって、現在の法制度、政治システム、民主主義がある
だからこの旗で何が不都合があるのか?、なぜ変えなきゃいけないのか?ということになります。
さらに言うと、この旗の変更のアイデア、そして国民投票するということは現在の首相、ジョン・キーによって推し進められてきました。
彼は国民党の政治家。今で2期目。
このジョン・キー、いろいろ物議を醸し出して、私の周りでは人気ありません。
特に現在、他の大きな政治的問題、例えばTPPA 環太平洋戦略的経済連携協定を結ぶかどうかと言った問題、を抱えています。そしてこれに反対する国民も数多くいます。
ですので、国民の中にはこの大事な問題から我々の目をそらさせるためにあえてこんなアイデアを敢えてこの時期に出してきたんだと考えている人も少なくありません。
世界各国でも歴史的にふり帰って、政治家が何か大きな政治的決断を下さねばならない時、そしてその決断が国民の不利益になるような時には特に、何か他に注意が向くように仕向けてその決断を無理やり、強引に、時には国民の知らぬ間に押し通してしまうというのは常套手段の一つではないでしょうか。
また、この国旗変更の是非を問う国民投票を実現するにあたって、2600万ドルもの大金が費やされています。これはもちろん国民の税金です。
ですので、そんな金があったら他に使うべきことがあるだろうと考える人もいます。
そして、このジョン・キーはさりげなくなんとなく新しい旗を支持している、もしくは新しいデザインを肯定的に考えていることをほのめかすことたまにがあります。
という理由から、嫌いなジョン・キーが支持している新しい旗は見たくない、彼の思う通りにはさせたくないと現行の旗を支持している人もいます。
もしくは、他の新しいデザインが気に入ってそれに投票したけれども、それが選ばれなかったので、だったら今のままでいいやという人もいます。
新しいデザインの旗
方やもう一方の新しいデザインの旗。
この旗のデザインを見てみると、
こちらを支持する人には、
最後に
この国民投票の結果は先ず、
そして、このジョン・キーはさりげなくなんとなく新しい旗を支持している、もしくは新しいデザインを肯定的に考えていることをほのめかすことたまにがあります。
という理由から、嫌いなジョン・キーが支持している新しい旗は見たくない、彼の思う通りにはさせたくないと現行の旗を支持している人もいます。
もしくは、他の新しいデザインが気に入ってそれに投票したけれども、それが選ばれなかったので、だったら今のままでいいやという人もいます。
新しいデザインの旗
方やもう一方の新しいデザインの旗。
この旗のデザインを見てみると、
- 左上の黒は、オールブラックスを始めとしたこの国を代表するスポーツチームのユニフォームの多くは黒と白を基調としていて、ある程度国際的に認知されている所から来ています
- 真ん中のシダは、これもオールブラックスのユニフォームに使われている、ニュージーランド固有のシダ、シルバーファーンです。
- 現行の旗よりは薄い感じの真っ青な色は、ニュージーランドの真っ青な空と海の色を表しています
- そしてきちんと南十字星も使い、さらにその配色は現行の旗と同じく、ここでイギリスとの歴史のつながりを肯定するものとなっています
こちらを支持する人には、
- とにかく現行の旗はオーストラリアの国旗と似ていて紛らわしく、オリジナリティがない
- 国旗を変更するだなんてこんな機会は滅多にないのだから、やらないってのはないだろう
- もう我々はイギリスの植民地ではなく、れっきとした独立国である。故にユニオンジャックの入った植民地時代を思い起こさせる現行の旗はもう必要ない
- カナダを見てみろ。あんなにアイデンティティにあった独自の旗をなんで我々も手にすることができないんだ
こういう主張をする人が多いように見受けられます。
面白いのは、今現在、ニュージーランドのあちこちで、家やお店に自分の支持する旗を掲げている人々も少なくありません。もしまさに今ニュージーランドを旅して周られている方で、疑問に思っている方がいらしたとしたら、これがまさにその理由なのです。
私も先日、マウントクック、テカポ方面に行くことがありましたが、所々でどちらかの旗が掲げられているのを目にしました。
ニュージーランドは、アメリカほど国に対する忠誠心をことあるごとに旗を掲げることによってこれでもかと誇示することはなく、一年のうちでも何か国の歴史を祝う時や、スポーツで代表チームが国際舞台で戦っている時、業績を上げた時などに旗を掲げる人が多いです。この面ではどちらかといえば日本に似てるとも言えるのではないでしょうか
最後に
この国民投票の結果は先ず、
- 3月24日の午後7時に速報が発表されます
- 最終結果は3月の30日にアナウンスされます
さて、二つのデザインの持つそれぞれの意味と、背後にある事情を見てきました。
ニュージーランドは普段は静かでゆっくり時間の流れる平和な国ですが、結果がどちらになるにせよ、それなりの騒ぎになることは間違いありません。
この国の歴史に残り、もしかしたらこの国の歴史を動かす、変える瞬間を目撃できるチャンスを是非逃さぬようお勧めします。
それではまた次回。
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